印欧祖語
*wéstis
衣服を着ること/衣服
the act of dressing; clothing
英語での現れ方
- vestvest・vested・vesture・vestment・vestry・invest・investing・investment・investor・divest・disinvestment・travesty
ラテン語 vestis(衣服)に連なる語で、英語ではほぼ vest の一形にまとまっている。物としての vest はチョッキ、vesture は古風な「衣類」、vestment は儀式で着る祭服、vestry はその祭服をしまう部屋(転じて教会の集会所)。ここまでは「着るもの」がそのまま残っている系列。
面白いのは抽象化した使い方で、invest は本来「(職に就く人に)衣を着せる→権限を授ける」ことだった。そこから「資金に役目を着せて働かせる→投資する」へ移り、investment・investor・investing が経済語として定着した。divest は衣を脱がせる→(権利・資産を)手放させる、disinvestment は投資を引き揚げること。vested は vested interest(既得権益)のように「すでに身にまとった=確定した」を表す。travesty は trans-(越えて)+ 着る で「衣装を取り替えること→まがいもの・戯画化」。フランク語系の語がフランス語で崩れた gaiter(脚を覆うゲートル)や revetment(護岸を覆う被覆)も「覆う」という同じ発想に立つ。vest を見たら「何に何を着せているのか」を考えると、投資も権限授与もひとつの像で捉えられる。