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イタリック祖語

*rapjō

つかむ

to seize

英語での現れ方

「ひったくる・さらう」が原義で、力ずくで素早く奪う動きが芯にある。そこから速さの方へ進んだのが rapid(さっとかすめ取るような→速い)で、rapidly・rapidity も同じ。奪われる側から見た形が rapt の系列で、rapt は「心を持っていかれた→夢中の」、rapture は恍惚・歓喜、rapturous・rapturously はその形容詞・副詞、enraptured は「すっかり心を奪われた」。同じ語から猛禽を指す raptor(獲物をさらう鳥)が出ており、恐竜名の velociraptor は「素早い略奪者」。

フランス語を通って柔らかくなった rav は、ravish(さらう→うっとりさせる)と ravishing(目を奪うほど美しい)で、暴力的な語義と美的な語義が同居している点に注意が要る。ravine は「水が土をさらってできた谷」で、地形の語にも「奪う」が残っている。rapac / rapin は奪う側の性質と行為で、rapacity は貪欲さ、rapine は略奪。速い・夢中・略奪という一見バラバラな訳語が、「さっと奪う」ひとつの動作から出ていると分かると全体が結びつく。