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西ゲルマン語

*hard(ī)

硬い

hard

英語での現れ方

hard は「硬い」と「厳しい・つらい」の両方を担い、複合語では前半に立って「頑丈な・厳しい」を添える。hardware(金物→ハードウェア)、hardwood(堅い木材)、hardcover・hardback・hardbound(上製本)、hardboard、hardtop、hardpan(硬い土層)、hardtack(船乗りの堅パン)が具体物の側で、hardship(つらい境遇)、hardline(強硬路線)、hardheaded(頑固な・現実的な)、hardworking(勤勉な)、hardball(強引なやり方)、hardscrabble(やせた土地での苦しい暮らし)が抽象の側。注意したいのは hardly で、「硬く」ではなく「ほとんど〜ない」という否定語になっている点。hardihood のように古風な語も残る。

この語はゲルマン系の人名にも好んで使われ、「強く」の意で Ric-hard(力強い)のような形を作った。その Richard の愛称から Dick が生まれたとされ、dick・dickhead・dicky はこの流れをくむ。同じ愛称系統の姓 Ricketts にちなむ rick も、rickettsia(リケッチア=発見者の名を冠した細菌)・rickettsial として学術語に残っている。語形は大きく崩れているが、いずれも「強い」を意味した人名要素が出発点とされる。