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印欧祖語

*sweh₂d-

甘い/美味な?

sweet; tasty?

英語での現れ方

「甘い・快い」を表す語から出た家族で、ゲルマン語側は sweet としてそのまま残った。sweet・sweeten・sweetener・sweetness・sweetly、semisweet・bittersweet・unsweetened、比喩に転じた sweetheart・sweetie が並ぶ。味覚から「心地よい」へ意味が広がるのは、この家族全体に共通する動きである。

ラテン語 suāvis(甘い→快い)を経たのが suav で、suave は「物腰が甘く滑らかな→そつのない」、suavity・suavely・suaveness がその派生。同じ語根の動詞「甘く思わせる」からは suad / suas が出て、persuade(すっかり甘く説く→説得する)、persuasion・persuasive・persuader、反対方向の dissuade(思いとどまらせる)、古風な suasion・suasible がある。persuade を「甘い言葉で相手の気持ちを動かす」と読むと、説得という訳語の背後が見えてくる。

ギリシャ語で「快楽」を表す語からは hedon が入り、hedonism・hedonist・hedonistic・hedonic という哲学・心理学の語彙になった。快楽を感じられない状態を指す anhedonia もこの系列。甘さ → 快さ → 説得、という三段で捉えると、離れた綴りどうしがつながる。